別館:は行
「敗因の研究 決定版」日本経済新聞運動部編、日経ビジネス人文庫、743円
さまざまなスポーツにおける敗因分析集。敗者は愚かなのか。勝利すると思われた者が、なぜ敗れ、何を失い、何を得たのか。
サッカーアメリカワールドカップ予選のドーハの悲劇、スキージャンプリレハンメルの墜落、、、などなど。スポーツノンフィクションとしてはもちろん、ビジネスにおける貴重な参考に資料にもなりうると思います。
「幕末維新史もう一つの読み方(ベスト新書 28)
」外川 淳著、ベストセラーズ、680円
幕末維新の時代はあまりにも激しいスピードで時代が流れていきます。
そんな中、「もしも」「あるいは」を考え始めると、まったく違った世界が広がります。
本書では、この「もしも」をいろいろな局面で捉え、考察を展開しているところに、これまでの 幕末維新を分析した書にない新しい観点を導いてくれます。また、この「もしも」を考えること
で、現代日本に応用できるヒントがたくさん隠されているようにも思います。
あと、この本で幕末維新を田沼政治の時代から捉えているのも興味深い点です。
「もしもペリーが来航しなかったら・・・」「もしも孝明天皇が毒殺されなかったら・・・」 「もしも大久保利通が暗殺されなかったら・・・」興味は尽きません。
「バースデイ」
鈴木光司著、角川書店、1400円
「リング」「らせん」「ループ」3部作の外伝。テーマは「誕生」。
本作品は3部にわかれている。
まず最初は「らせん」で登場した、高野舞がリングウイルスに侵され山村貞子を孕んでしまったあとから、出産後死体で発見されるまでの、高野舞から見た詳細の情景「空に浮かぶ棺」。
次に「リング」で登場した、山村貞子が失踪前に属した劇団でのお話「レモンハート」。
最後に「ループ」のその後の話「ハッピーバースデイ」。
いずれも3部作に幅を持たせてくれる。今回「バースデイ」を読んだ後また3部作をざっと読みかえしてみるのも面白い。とにかく、物語の奥行きが深く幅が広がるのである。
「破線のマリス」
野沢尚著、講談社、1500円
第43回江戸川乱歩賞受賞。
ニュース番組を実質作り上げていく、敏腕編集ウーマン。彼女自身が作り上げた、映像の罠に最終的にはみずからがはまっていく様は、スリルに満ちて読む者を引きずり込む。
また、テレビ報道の裏側という舞台で、本当にこのような情報操作がなされているとなると、別な意味で非常に恐いと思った。
惜しむらくは、この物語の終局が、作中の伏線を完全に解き明かさないままに終わってしまっている点。読後感は、少し欲求不満が残る。
「働くことがイヤな人のための本」
中島義道著、日本経済新聞社,1400円
何のために働くのだろう。仕事とはそもそも何なんだろう。金を稼ぐための手立てなのか。でも,あえて無理をしていやな人と付き合ったりしたくはない。さらに自分の自由な時間を束縛されたくない。とはいいつつも,一生寝て暮らすわけにもいかない。ならば生きている意味がないのか。。。。
戦う哲学者中島さんの次なる課題は「働くこととは?」。
「生きがい」というと紋切り型のような気がしてこっぱずかしい。ただ,一言でいうとそういうことになるのかな。
たしかに働かなくては食べていけないというのは事実だが,仮に一生食べていけるだけの財産があったとして働かずに毎日遊んで暮らすか?というと,そういう自信もない。
今後もいろいろ考えながら,簡単に結論は出せそうもないテーマだな。
「八月のマルクス」
新野剛志著、講談社、1600円
第45回(1999年)江戸川乱歩賞受賞。
レイプスキャンダル。お笑い芸人を引退した笠原雄二は,5年後余命わずかな相方の失踪。よみがえる過去,そして5年の月日・・・
率直におもしろかったです。
展開もさる事ながら,主人公の笠原雄二ととりまく人物がそれぞれ丁寧に描かれ,最後のなぞ解きまで飽きさせません。
イメージとしては,ハードボイルドですね。
ちなみに,タイトルにある「マルクス」ですが,「資本論」の「カール・マルクス」のことではないです。念のため。
「果つる底なき」
池井戸潤著、講談社、1500円
第44回江戸川乱歩賞受賞。
大手都市銀行を舞台に繰り広げられるミステリー。
公金横領、不正融資、企業買収それに銀行内の派閥争いが絡む複雑な状況の中で、主人公は一匹狼的に正義を貫くべく問題解決に乗り出す。
構成自体はオーソドックスなミステリーだと思いますが、主人公にすっと思い入れることができ一気に読みきることができた。
また、日常の銀行業務を詳しく説明しながらの展開であり、非常に勉強になった。
この話は極端かもしれないが、似たような話は実際に起こっているのだろうと考えるとちょっと恐い気もする。
「バトル・ロワイアル」
高見広春著、太田出版、1400円
西暦1997年,東洋の全体主義国家,大東亜共栄国。この国では毎年,全国の中学3年生を対象に任意の50クラスを選び,国防上必要な戦闘シュミレーションと称する殺人ゲーム,”プログラム”を行っていた。ゲームはクラスごとに実施,生徒たちは与えられた武器で互いに殺し合い,最後に残った一人だけは家に帰ることができる・・・・
某小説新人賞選考委員全員から,あまりの内容の過激さゆえに,そろって拒絶落選されたと言われ本作品。
たしかに,クラスメートが殺し合い,しかも生々しい描写が次々と繰り出されるところはその通りかもしれない。でも,それって表面的なところしか見てないのじゃないかなとも思う。
この作品,実は底辺には人に対する信頼感または信頼したいという気持ちが流れている。そして,現実とのあまりのギャップに戸惑い,悩むという姿が炙り出されているとも思えるのだ。
さらに,確かに結果的に死んでしまうのだが,その多くは自らの愛をある意味成就させて死んでいくという点も,単なるバイオレンスオンリーの漫画とは言えないと思う。
だからこそ,新書版650ページというボリュームで,クラス42名の心の動きとその背景が細かく描写されているのだろう。
まあ,でも「中学3年生同士でしかもクラスメイトが実際に殺しあう」というシチュエーション自体,社会が受け入れてくれないというのもわからないではない。
ちなみに2001年に映画化らしい。2時間でこの作品をうまく表現できるのか。私は無理だと思うな。
「話のおもしろい人、つまらない人 人間関係が10倍うまくいく話し方のヒント」
(PHP文庫)高嶋 秀武著、PHP研究所、476円
同じことを話していても、「おもしろい人」と「つまらない人」がいる。相手に好感をもたれ、「あなたにまた会いたい」と思われる話し方の極意を紹介。スピーチ、セールストーク、酒席などで使える話のネタも満載。
「バランスト・スコアカードによる戦略マネジメント」ニューチャーネットワークス編、伊藤武志著、日本能率協会マネジメントセンター、2300円
バランスト・スコアカード(BSC)について、ていねいに分かりやすく説明した解説書。
見開き2ページで1単元を説明し、さらに右側のページに大きな図表があり、読み進めることでバランスト・スコアカードの概要から実際に適用していく上での注意点、事例その他を理解することができる。
そもそも、経営品質を高めるためのひとつの手法であるわけで、実際にそのまま当てはめることができることは難しいかもしれないが、その考え方や前提となる事項を理解し、応用の工夫をすることで成果を挙げることができる。
「ハルモニア」
篠田節子著、マガジンハウス、1800円
ハルモニアとは「真の音」。
風にも、水にも、そして惑星の運行にも、音律があるという。いつの時代からか人の5感は退化し、ハルモニアを聞くことができなくなった。
そのハルモニアを聞くことのできる、障害を持った女性。そしてチェロを弾き教えることで心が通じ合う街のチェロ奏者。そんな二人の悲しいラブストーリだと思いました。
ストーリ全体を通して、悲しいチェロの調べが聞こえてくるような、そんなイメージを抱かせつつも、しっかりとした人物描写はさすが篠田さんだと思います。
「反逆の左腕」川口和久著、ネコ・パブリッシング、800円
広島カープ、巨人で活躍したドラマチックサウスポー川口和久の贈る、サウスポー論。
サウスポーは個性的である!という点から、自らのプロ野球での経験などをベースに展開。
「それは別にサウスポーに限らないだどう?ちょっとそれは偏っているのでは?」と思うところが多々あって、突っ込みどころ満載ではあるが、現役時代からの川口ファンである私はそれを許してやろうと思う。
「反常識の対人心理学」相川充著、NHK出版生活人新書012、680円
一般に常識といわれていることに、あえて反論し、対人関係をうまく保とうとするための、より実践的なガイド。
人の話はしゃべりながら聞け。
人にものを頼むときはいったん断らせろ。
内容のない言い訳でもした方がよい。
結局、生身の人間同士、理屈だけではかたがつかないことがいっぱいある。常識にとらわれて、人間関係で損をしている人は大変参考になると思います。
「光射す海」
鈴木光司著、新潮文庫、460円
入水自殺を図り、記憶を失った若い女性。過去に恋人だった青年は遠洋マグロ漁船の上。
偶発的に誕生した遺伝子が特別な意味を持ち、二人の運命を変えた。
そして、「大きな海という自然」と「生と死」を乗り越えることにより、人間的に大きく成長する青年。
ラストにて、見事に収斂していく様は感動的でさえある。
「ビジネスマンは、本を書こう はじめての執筆から出版社へのアプローチまで」
畑田 洋行著,サンマーク出版,1,300円
仕事や人生で学んだ何かを、一冊くらい残しませんか? 持ち込み原稿の出版をサポートする「出版塾 」を主宰する著者が、自らの体験を踏まえて、自費出版でなく、本を出すノウハウを紹介する。
最近、副業とか自分自身のお仕事の整理とかで、本を書こうとする人が増えているようです。ところが、その書き方がわからないという方も多く、せっかくのネタもお蔵入りになってしまうことも少なくありません。そこで、この畑田さんの本。いいですよ。実際に原稿を書いていく上でのポイントや出版社へのアプローチの仕方など、まさに即役に立つ情報満載です。
ちなみに、このサンマーク出版は広く原稿を募集しています。もしも原稿があって、どこか出版社に見てほしいと思っている方は、このサンマーク出版さんにまずアプローチするのも良いかもしれません。
「美神解体」
篠田節子著、角川ホラー文庫、470円
整形美容で、新しい顔を手に入れた麗子。だが彼女を待っていたのは、以前にもまして哀しみと虚しさに満たされた日々だった。
「陽だまりの樹 1〜8
」手塚 治虫著、小学館文庫、各581円
ご存知、巨匠手塚治虫氏が贈る、幕末維新の感動巨編。激動の時代を史実をもとに手塚治虫的解釈を加え、さらに手塚本人のルーツにも迫る。
幕末維新って、あまりにも時代の流れが早くて、分かったような分からないようなそんな感じを持つ人が多いと思います。まあ、だからこそ魅力的な時代なのかもしれませんが。
そんな方に、手塚治虫氏がこんな漫画を残してくれていました。
幕末維新を追うならば、まずこれを読むとよいでしょう。
素直に楽しめ、素直に感動し、素直に理解ができます。そしてそれこそ手塚治虫氏のなせる業なのでしょう。
「左手に告げるなかれ」
渡辺容子著、講談社、1500円
第42回(1996年)江戸川乱歩賞受賞。
ヒロインの八木薔子はスーパーの女性保安士。スーパーの万引捕捉にかけてはスペシャリストである彼女にも暗い過去を持っていた。
その過去を呼び起こすような殺人事件に巻き込まれ、事態は思わぬ方向へ・・・
女性保安士の視点やコンビニエンスストアチェーンの実態など、描写が非常に緻密で、その面でも興味深い。
逆に、女性保安士自体はこの本題とは直接関連がないようにも思え、ふに落ちないような読後感が残る。
さらに、なぞ解きはかなり無理があると思うし、ラストシーンもあまり私の好みではない。
ただ、先にも書いたが、コンビニエンスストア経営の悲哀のようなも現実感を伴って描かれているところは、例えば販売流通の教科書的にも使えるような感想を持った。
「ヒトゲノムのすべて」
中原英臣著、PHP、1000円
まったくの素人でもわかるように、ヒトゲノムについて実にわかりやすく解説してくれています。
・なぜアメリカ主導で研究が進んでいるのか?
・DNAと遺伝子はどう違うのか?
・豚の心臓を人間に移植する計画があったというのは本当か?
・ヒトゲノムに関する知的所有権戦争の実態は?
・遺伝子組替食品への不安感とは?
軽く読めるので多くの方にお勧めです。これから間違いなく大きな話題になるであろうヒトゲノムについて、さっと抑えるのはうってつけです。
「人はなぜ「美しい」がわかるのか」 橋本 治著,ちくま新書,760円
少々くどいですが、なかなか興味深い分析だと思いました。
「美しい」がわかる・・・というのは、要するに「美しい」がきわめて定性的で、人の感性によって左右されるためにわかる人とわからない人がいるということで個人差がどうしても発生しまうのでしょう。ただ、それだけですまないのがこの本の分析。
一般に、「美しい」=「合理的」というような捉え方もされます。つまり「合理的」ならばだれでも、そう思うはず。でもそうならないのはなぜなんだろうというのが、この本のツッコミどころなんですね。
で、結論は、「そういうもんはそういうもんだ」。なんじゃそりゃあ!!でも、そういうもんかなあ。
「人はなぜ騙されるのか」
安斎育郎著、朝日新聞社、1500円
超常現象、宗教、社会、数字のトリックなど、人がだまされやすい事項を挙げ、どうしてだまされるのか、どうすればだまされなくてすむかなどを分かりやすく説明。
非科学も科学的に分析することにより、その本質が見えてくるものだということ。
「人はなぜ働かなくてはならないのか」 小浜逸郎著,洋泉社新書,740円
「なぜ人を殺してはいけないのか」の小浜さんが放つ、倫理・哲学講座。
この問に対して、私はなんと答えることができるだろうか。
「食うため」・・・じゃあ、食えるだけ資産があればまったく働かなくて平気か?違うかも。
「労働は人間にとって美徳だから」・・・美徳とかいうのともなんだか違うような気がする。
「社会人としての義務だから」・・・そうかもしれない。でも社会人って何だろう。
結局、「自分自身の自己満足」や「アイディンティティの誇示」なのかもしれません。
いずれにしても、簡単に答えは出そうにありません。
その他のお題としては、
・思想や倫理は何のためにあるのか
・人間にとって生死とは何か
・「本当の自分」なんてあるのか
・なぜ学校に通う必要があるのか
・なぜ人は恋をするのか
・なぜ人は結婚するのか
・なぜ「普通」に生きることはつらいのか
・国家はなぜ必要か
・戦争は悪か
「秘密」
東野圭吾著、文芸春秋、1905円
妻と小学生の娘が事故に。妻の葬儀の夜、意識を取戻した娘の体に宿っていたのは死んだ筈の妻だった……切なさ溢れる長篇ミステリー
。
愛する妻が消え、娘の身体にその精神が宿った時、男はいったい何ができるだろうか。小学校五年生に戻った妻はとまどいながらも、人生をやり直す決心を固め、男はひとつ屋根の下で奇妙な夫婦暮らしを続けるほかなかった……。
「百年の恋」
篠田節子著,朝日新聞社,1500円
「作中育児日記:青山智樹」とあるように,実際の育児奮戦記を篠田さんのタッチで描いたラブ・トラジコメディ。
バリバリの美人キャリアウーマンとうだつのあがらないフリーのライター。そんな二人が恋に落ち結婚。そして出産。子育て。
ソトメには完璧と思われているキャリアウーマンだったが,じつは家事はからきしだめ。おまけにジェンダーにあまりにも敏感すぎる。その結果,出産から子育てにおいてさまざまな葛藤を抱く。
見た目もぱっとしないフリーライター。彼のやさしさが二人の支えになっていた。そして,家事から子育てから結局彼が中心になって行うはめに。
笑うに笑えない,現代社会への批判もちくりと効かせて,軽い篠田ワールドに仕上がっています。
「白夜行」
東野圭吾著、集英社、1900円
亮司と雪穂。
この2名がつかず離れず微妙に織り成す人生のあや。まさに精巧な機械のように計算され尽くされたようにも見え、また本人の思いとは別の大きな力が偶然を呼んでいるようにも思わせる。
物語は、この2名を取り巻く人々のさまざまなエピソードで展開される。しかし、やはりあくまでもベースになっているのはこの2人。
そして、思いがけないラストへ。
実は、このラストシーン、個人的にはいただけない。亮司がそれまでの亮司らしくなく、またこのあとの雪穂もこれまでの雪穂と大きく進むべき道が変わるであろうことを予想させるからだ。
にしても、面白かった。でも「青の炎」、「永遠の仔」に引き続いて立て続けに読むと、今の世の中、結構考えさせられるものがある。
「ファーストフードが世界を食いつくす」エリック・シュローサー著、草思社、1600円
ファーストフードという産業がどのように成り立っているのかを、綿密な調査と詳細な分析によって表されています。
これを読むと、ファーストフードのハンバーガーやポテトを食べるのが少し恐くなるような気がします。ただ、ファーストフード産業そのものの成り立ちにも触れてあり、それを読むと、ファーストフードの意義も理解できたりするのです。
いずれにしても、そういう事実もあるということを認識するのとしないのとでは、雲泥の差だと思います。その意味で、この本は非常に有効な一冊であったと思います。
「ファンキービジネス」
ヨーナス・リッデルストラレ シェル・ノードストレム、博報堂、1800円
「資本主義の終わりを生き抜くためのハウツー本」ということだが,あまりたいした事はない。
ただ,割と平易に書かれているため読みやすいと思います。挿絵は個人的には好きではない。
「不幸論」 中島 義道著,PHP新書,660円
まず、くどい。くどすぎる。
これまで、中島さんの書を何冊か読んできたが、本書はこれまで読んだものの中で最悪であった。
とにかく迫ってくるものがない。だから余計に読むのにしんどくなる。
要は「不幸」かどうかは個々の価値観で決まるものであるわけだ。いくら他の人の能天気を嘆いても、その人の勝手だし、自分が不幸と思うかどうかはまたその人の勝手だし・・・
そして、これは私の感想であり、中島さんにとってはどうってことないのだろうな。本書を読むに、きっとそうに違いないと思ってしまう。
見方を変えると本書は、「不幸論」というより、著者の人生論ということがいえる。端的に言ってしまうと、本書は著者の主観を述べているにすぎない。ただそれだけなのだろう。
「ぶざまな人生」 勢古 浩爾著,洋泉新書y,720円
「ぶざま」とは、自分に素直に生きること。
勢古さんは、本書でこう語りかけてきます。
かっこうつけて突っ張って生きて、そろそろくたびれてませんか?
その結果として元気がなくなっているのではないのですか?
常識って何だと思いますか?
世界標準って生きていくうえで何程の効果があるのですか?
あの世にまで何を持っていけるのですか?
「なるものはなり、ならぬものはならぬ」。
開き直りでなくて、ここまで達観できたならば、それはぶざまではなく、とてつもなく格好いいと思ったりするわけですよ、私は。
「不平等社会日本」
佐藤俊樹著、中公新書、660円
戦後50年経った今、いたるところで二世が幅を利かせていたりします。特に給与の高い職種に多いように感じられるのは気のせいでしょうか。
日本は努力すれば何とかなる、比較的自由競争の社会と言われています。ところが現実には努力しても超えられない壁も多くあるのです。
実力主義、成果主義とはよく言われることですが、実はこれは勝者の論理なのかもしれません。そして勝者は勝ちつづけたいにもかかわらず、うわべだけの平等を唱えているのかも知れません。欺瞞といったら言い過ぎかもしれませんが、少なくとも自己矛盾を起こしているようにも感じます。
まずは平等という幻想は捨てたほうがよいかも知れません。
意味のない画一化を言う平等主義を批判するような、安直な書ではないです。
「社会階層と社会移動全国調査」という調査データをもとデータで現在の日本の二重底のえせ平等社会を切り取っています。データはちょっとくどいですが。
「不夜城」
角川書店、馳星周著、1500円
金城武主演の映画で話題。
新宿歌舞伎町を舞台とした、中国マフィアの抗争の中で、究極の限界愛を貫く男と女のお話。
読了感は、あまりよいものではない。非常にスピーディで妙にリアルな作者の筆力がゆえに、こんなに次々と人が殺されて、気分がいいはずがない。特に新宿に土地勘があるならばなおさら。
でもおもしろい。
「BLACK
OUT」渡辺浩弐著、幻冬社、1400円
数年前深夜にTVドラマでも話題
1999年の近未来にて、クローニング、DNA操作、コンピュータウィルスなどの悪魔の道具となった科学犯罪に挑む。
ただ、後半の「サイバーチップ」や「ブレインスキャニング」はちょっとついていけない気がした。
「ブルーハネムーン」
篠田節子著、光文社文庫、543円
結婚詐欺師である主人公が、自ら仕掛けた罠で成功と思いきや、事は意外な方向に発展していき・・・・
東京、福井、サイパンとジェットコースターのような勢いで物語がすすみます。
2時間ドラマあたりに最適かも。主人公は山口智子あたりか?
「プロ野球ビジネスのしくみ(宝島社新書) 」小林 至編著,別冊宝島編集部編著,宝島社,700円
サッカーワールドカップやメジャーリーグなどの魅力的なスポーツエンターテイメントが新たに台頭してきて、プロ野球人気のかげりを心配する声が高まっています。
何でそうなのか、またどうしてそうなったのか、あるいは本当のところはどうなのか。。。
一言では語りつくせないのは承知の上ですが、そこを敢えて一言で言うならば「いつまでも自分の世界の中で勝負をしようとしている」ということになるのかもしれません。そんな状況を憂う一人として、元東大野球部エースでかつ千葉ロッテに在籍経験を持つ小林さんの放つ一冊です。
プロ野球ファンとして知っていて損はありません。
「平気でうそをつく人たち」
M.スコット.ペック著、草思社、2200円
自己正当化のために巧妙かつ隠微なうそをつく邪悪な人たちがいる。しかも本人はうそをついているという意識がないだけに事は厄介である。
概して、そういった人は、自分に欠点が無いと思い込んでいたり、異常に意志が強かったり、他人に善人だと思われることを強く望んだり、他人をスケープゴートにして責任転嫁をしたり・・・・
心理診療の過程で実際に遭遇したエピソードだけに、非常に恐い気がします。
「ヘソマガリ」
峰岸 和弘著、ダイヤモンド社、1,400円
95年設立、2000年に日本企業では初めて日米同時株式公開を達成した株式会社クレイフィッ シュの成功するまでを描いたドキュメント。
ただ、このタイミングで、すでに光通信の資本参加で、社長の松島さんは追われる身になりつつ あった。
・・・というのはおいといても、ベンチャービジネスとはどういうものかを理解するうえでは 非常に分かりやすく書かれています。途中に挿入されている経営学的なハウツーも効いてます。
「報道は欠陥商品と疑え」 鳥越俊太郎著,ウェイツ,750円
2002年秋に惜しまれながらも打ち切りになった「ザ・スクープ」のキャスター、鳥越さんが書いた、マスメディア・報道に対する辛口な意見。
マスメディアが垂れ流す情報の真贋を見極めることは、報道そのものに携わる人間の資質でありモラルというのが原則です。ただ、現在は報道そのものもビジネスであり、「消費の対象」あるいは「娯楽」という色が濃くなってきています。
このような流れをずっと見つつ、常に真実を追い続けてきた鳥越がさんが、現在の報道のありかたに警鐘を鳴らしているのが本書です。
私も常々、今のニュースや報道の姿勢に疑問をもち、自分自身の頭で咀嚼しなければならないと思っているので、非常に共感できました。
「捕手論」織田淳太郎著、光文社新書、680円
野球、特にプロ野球を、捕手の視点でさまざまな分析を試みています。捕手自身のみならず、投手、打者、審判など、多面的な証言をもとに、捕手の配球やプレーの秘密を解き明かしてくれています。
古田敦也、城島健司といった現代の名捕手や森昌彦、野村克也、達川光男といった過去の名捕手のそれぞれの特性から捕手論を掘り下げて生きます。特筆すべきは、水沼四郎から見た江夏の21球。題して「水沼の21球」は面白い。
「ボールパークへの旅」
上田龍編著、ドリームクエスト,1800円
ああ,メジャーリーグを生で観戦したい!
そんな方に,メジャーリーグ各チームのフランチャイズ球場への行き方のガイドが便利です。
挿入されている各種の写真やコラムもお勧め。
「ホワイトアウト」
真保裕一著、新潮社、1800円
降り積もった雪に閉ざされた厳寒の地。そこにある、日本最大の貯水量を誇るダムがのっとられた。人質は発電所職員と下流域の市町村。
同僚と亡き友の婚約者を救うべく、主人公・富樫がダムに向かう。
厳寒地の吹雪やなだれの描写、ダム・発電所内の様子など、実に細かくて臨場感いっぱい。一気に読ませてくれます。ストーリーも、人の心の痛みが織り成す力というもので一本筋が通っており、飽きさせません。
文句なく楽しめるハードアクションです。
「鉄道員(ぽっぽや)」
浅田次郎著、集英社、1500円
直木賞受賞の短編集。
涙と笑いと・・・語り口、構成、人物表現が見事。
個人的には8編の中では、「ラブ・レター」がいい。
「灰暗い水の底から」
鈴木光司著、角川ホラー文庫、460円
水をテーマとした短編集。
単なるホラーとは言えない、人の営みの奥深いところで響くようなものがどの短編からも感じられる。
「凡宰伝」
佐野眞一著、文芸春秋、1619円
「面貌も橋本前首相に比べれば劣ります。『奇岩怪岩』も味わいがあるという人も降りますが、政略結婚したわけでなし、政治資金調達能力もまあまあ、能力もミドルクラス、こういう人間が宰相になれたのはなぜか。人柄か。私は『天命』だと思っております。」
先に志半ばで倒れた小渕首相の伝記。ただし、佐野さんのドキュメントにしては比較的(『カリスマ』とか『東電OL殺人事件』)短く、すぐに読めます。
小渕さんって、あのキャラクターで誤解する向きも多いようですが、そうとうなタヌキだったようで。
彼が実際に実行したことも、彼でなければなしえなかったことが多く、それゆえに任期中に病に倒れたということで一種の伝説化されそうな感さえありました。
ただ、彼にひとつ宰相として欠けたものがあったと思います。それは「ビジョン」。
やはり、リーダたるもの、多くの人に向けてオープンにできる「ビジョン」を持たねば、先はありません。
情大図書館別館へ
あ
か
さ
た
な
は
ま
や
ら
わ
情大図書館へ
GLORY's OFFICEへ