別館:さ行
「最悪」 奥田英朗著、講談社、2000円

「ラストの展開にのけぞること請け合い」
「これまでの日本の犯罪小説ではお目にかかったことがない迫力」
「スピーディな視点の展開が見事」
・・・・と各誌紙絶賛。

「最悪」というタイトルがそれなりにインパクトがありますが,本当におもしろかったです。
まず3人の主人公をはじめとして,人物の描写が細やかでリアルにその人物像が浮かび上がってきます。
そして,決して本人たちが悪いわけでもなく,また望んでいるわけでもないのに,ここまで最悪な状況に落ちていくか?というくらい,徐々に悪い方向へ悪い方向へと転がっていくさまは,スピーディで飽きさせません。
思うに,何か人間はもともと本質的に弱いところというか,自分でない他の何かの責にしてしまうような甘えがあって,それがこの本では強調されているような気もしました。

「最後のストライク」 津田晃代著、剄文社、1300円
なぜにそんなに早く逝ってしまったのか。炎のストッパー津田恒美。
原因不明の脳腫瘍に悩まされ、闘いつづけたその一部始終を最愛の妻が纏め上げたのごこの書。
津田恒美がなくなった日、それはくしくもその年のオールスター第一戦の日であった。そしてそれが津田恒美の投じた「最後のストライク」であった。

カープファンでなくとも涙をさそう苦闘記であります。

「斎藤家の核弾頭」 篠田節子著、朝日新聞社、1600円

設定は今から50年から100年後の日本。さまざまな機械化と国民のランク付けと政府による統制の徹底により、すみやすくなったはずの日本であったが・・・
ランク特Aで裁判官という重要な職についていた斎藤総一郎が、裁判の機械化により職を失ったところから物語りは始まる。で、いろいろな事件を経てついに国家と対立するはめに・・・

前半は、未来の日本の生活状況がいろいろと考えられていて、結構面白く読めます。さすが篠田さんです。でも後半はだんだん荒唐無稽な感が増長し、ちょっときつい感じ。
で、l読後感はいまいちです。というのも、この主人公の総一郎が自分となんとなくイメージが重なってしまい、しかも自分の弱いところを見せ付けられているようで、なんかいやか感じでした。

「犠牲(サクリファイス)」 柳田邦男著、文芸春秋、1400円

自らの息子が自殺を試みる。そしてその結果脳死状態に陥る。
実の親としてはとてもやりきれない状況である。このような状況で親はその子に何をしてやることができるのか・・・
なんで自殺をしようとしたのか?
さらに、「脳死」とは言っても、機械の助けを借りながらも呼吸をし、血液は体を巡り、さらに排泄行為までも行っている。どうしてこれを「死」と認めることができようか。

「脳死」というものに対し著者が家族として得た実感をベースにした視点から述べ、安易な生体移植に関する法案の成立や世間一般の認識に対し警鐘を鳴らす。

「『犠牲(サクリファイス)』への手紙」 柳田邦男著、文芸春秋、1429円

「犠牲」の続編。
というより、「犠牲」の読者からの300通の手紙が語る、悲しみと癒し。そして生命について。
「二人称の死」というものは、実際に経験した人でないと分からないに違いない。そして、二人称の立場から、現在さかんに論議されている「脳死」と「臓器移植」についても考えさせられます。
後半の講演やインタビュー録は、息子の脳死以前のものも多く含まれています。著者柳田氏自身の生と死に関する見識の深さがうかがわれます。
「脳死問題」を語るなら、「犠牲」とこの本を読んでみてからにしてほしい。そう感じました。

「聖の青春」 大崎 善生著、講談社文庫、648円

生きている証を勝負に見出した男の物語
幼い頃に腎ネフローゼを患って以来常に病気と対峙し、若干29歳という若さでこの世を去った棋士、村山聖の生涯を綴った物語である。コミック『聖(さとし)』を併せて読むと良い。本書にはないエピソードも幾つか挿入されている。
自分の命が長くないことを幼くして悟った聖は将棋という世界に自分の生きている証を見出した。『名人になるんじゃ』という、その思いだけが彼を生かしていたのかも知れない。将棋界で頂点に立つことが自分の生の証だと信じていたのだろう。

「33才が読む本」 昭和40年生れ友の会編、財界、984円

私も昭和40年生まれですが・・・
まず、この本を読んだ感想ですが、あまりうまく言えないのですが、非常にネガティブな印象を受けました。「私も同じ40年生まれだけど私はこんな風に考えていないぞ」という感じです。
まず第1〜3章。私が生まれてから33年の間にどんなことがあったかが非常によくまとめられていると思いますが、何か悪いことの方がつよく印象に残るのです。
そして、第4〜6章。「衣」「職」「住」という点にスポットを当てて、いろいろと分析されているようですが、あまりに内容が薄い。
紙面に限りがあるのでしょうが、もう少し充実した内容にもできるのではないですか。たとえば「職」ですが、結論は「公的資格をとりましょう」ですか?
また、「住」については、「アメリカンコンフォートで、郊外に共同で住宅購入し休みはガーデニング」ですか?
「衣」についてはよくわかりませんが、3枚の写真、白黒のせいもあるのでしょうがあまり格好よいとは思いませんでした。

結局、すべてにおいて斜に構えて何か本質から逃げているような気がします。また、すべてにおいて誰か他の人のせいにして、自らの主体性が感じられないのです。

私がこの本で一番気に入ったのは、本文欄外のコメントですね。ここのところが一番本音っぽくて共感を覚えるものが多くあるように思えました。

と、結構辛辣な感想になってしまったのですが、あとがきまで読んでみて、ひょっとしたらこういう感想を持たせることを狙っていたのかも知れないのかなとも思いました。

「時雨の記」 中里恒子著、文芸春秋、1300円
華美ではないがしかし人の心根にしっかりと根を張ったような、中年男女の命の限りの愛を描く。
「マディソン郡の橋」でもなく「失楽園」でもない、叙情性と身辺性が実にここちよい。
本当の意味で「恋」が描かれていると思う。

「仕事のなかの曖昧な不安 揺れる若年の現在 玄田有史著,中央公論新社,1900円

今、失業率の数字がだんだん大きくなっている点が世間を騒がせています。ただ、この数字ばかりを追いかけていると大きな局面を見逃してしまいそうです。特に、若年層の就職率低下が深刻だといわれています。
この本では、まず、若者に仕事がないのは、実は中高年(「日経新聞を読んでいる世代」という言い方が非常に的を射ていておもしろい)のせいでなんです・・という今までにあまりない切り口で、若年層の仕事感を分析した非常に興味深い内容になっています。

ここでの1番の論点は、中高年の雇用維持という既得権の行使が若者の大量失業・フリーターの増加に繋がっているというもの。
この本では、こういった問題をあげつらって評論するだけではなく、若者の失われた働き甲斐を見つけるために「何をしなくてはいけないのか」まで追求しようとしている点だと思う。
また、主張をうらづけるためのデータも豊富で、非常に納得感がある。

さらに言えば、中高年者雇用維持という既得権行使に中高年労働者・企業・行政・司法などの社会システムに加え、その一役を担っていた労働組合も問題であるということも無視できないでしょうね。

「仕事を成し遂げる技術」 デビッド・アレン、はまの出版、1800円

本旨としては,時間の有効活用ということ。さらに付け加えるならば,状況をよく観察するということ。この2点が押さえる事ができれば,たいがいのことはきちんとできると思います。ただ,感情を持つ人間です。いつも平静な気持ちでいられるとは限りません。そこをいかに冷静に考えられるかで差が出てきます。
ストレスを貯めないように生産性を高めるための技がいっぱい詰まっている本書です。

「シーズ ザ デイ」 鈴木光司著,新潮社,1800円

「リング」「らせん」「ループ」ほどのインパクトはないですが,私としてはそれなりによかったと思います。
ラストがある程度予想できたのとひねりがあまりなかったのが少し不満ですが。
でも,海と人生とヨットと,なんだか自分と大きく違う環境なのに,すごく共感できる人物像は鈴木光司さんのなせる技ですね。

「実践経営問答」 稲盛和夫著、PHP、1500円
「トップの判断のよりどころとは?」「ナンバー2の要件について」「分社化の意義とは何か?」「経営目標は何を基準に決めるべきか?」といった、主に中小企業経営者の悩みを、盛和塾塾長である筆者がを指南。
その内容は極めて実践的であり、中小企業経営者の方々には非常に参考になると思います。

「失敗学のすすめ」 畑村洋太郎著、講談社、1600円

人は異様に失敗を恐れることがあります。それが昂じると,何もやらないことが失敗を起さない最大の方法などとおかしな方向に進んでしまうこともあります(いわゆる大企業病や官僚体質)。そういった,妙に守りに入った姿勢に対して,非常に気持ちよくかつ論理的に対策を打ち出してくれています。
要するに失敗にも二種類あるわけで,「よい失敗」と「悪い失敗」に分けることができます。
「よい失敗」とは,まったく新しいことにチャレンジをして結果的に失敗してしまうようなケース。「悪い失敗」とは,すでに一度失敗していることを繰り返してしまう失敗。この場合,一度失敗しているとは先輩の失敗経験やアドバイスなども含みます。
ただ,こういった苦い経験は時とともに風化してしまうものです。失敗を繰り返さないためにはそれ相応のノウハウというかコツがいるのです。当事者意識を持つことができ,全体像を理解することで致命的な失敗を未然に防ぐとともに新たな創造を生むこともあります。
さらに,少なくとも「よい失敗」ならば失敗を肯定するということも重要です。やたらに失敗を攻撃していていては,正しい原因がぼやけてしまうばかりでなく将来同じ失敗を繰り返す危険性を増幅させてしまうことがあるからです。日本人としてはこの点が一番苦手なのかなと思ったりします。

「失敗を生かす仕事術 」 畑村洋太郎著、講談社現代新書、680円

失敗学の権威、畑村先生が送る、失敗学の仕事への応用。
いや、現代の社会に対して、さらに鋭く突っ込んできてます。「安全だと思っていた道」が実は「最も危険な道」になってしまっていることなんて、結構ありうる話です。要するに、絶対というものがない今、過去の経験からいかに学びそして生かすことができるかがポイントになってくるわけです。決まりきったことを、可もなく不可もなく実行するのではだめなのです。何でそうなのか?を考えることこそ、第一歩なんですね。

「死神」 篠田節子著、文春文庫、514円

最近巷で話題の社会的弱者の介護。
それを担うのはケースワーカーたち。そのケースワーカーにスポットをあてて、彼ら彼女らの日常の生々しい状況を描いた輪作集。
所詮彼ら彼女らも同じ人間であり、弱者になりうりわけです。
篠田さんならではの丁寧な描写と、そして読み手に訴えかけるメッセージ。
決して奇麗事ではない、また他人事ではないケースの実状が浮き彫りにされています。

「「自分の力」を信じる思想」 (PHP新書 169) 勢古 浩爾著、PHP研究所、660円

「まれに見るバカ」の勢古さんが、「まれに見るバカ」の前に著していた、不安定な時代を 生き抜くため「自分の力」を示すための考え方のアピール。
ここ最近の世の中の脱力感というのは、結局他人まかせ、無責任感、当事者意識の欠如、 自分へのひきこもり・・・といったものからきているのではないかと思う。そしてそれは 結局自分自身への自信のなさが根本原因にあるようにも感じています。せめてこの本で 生きる勇気を見つけてみたい、そんな一冊です。

「「弱者」とはだれか」 小浜逸郎著、PHP新書[083]、657円

弱者というと、一般に障害者、お年寄り、子供、女性。。。その他、有色人種、部落出身者なども被差別者と言う歴史の経緯から弱者とされることが多い。また、チビ、デブ、ハゲ、ブスなども「いいにくさ」という意味で弱者にカテゴライズされるかもしれない。
しかし、この「弱者」がいつの間にか聖化されていないか?アンタッチャブルとして過剰に反応してしまっていないか?
特に、マスメディアにおける異常なまでの気の使い方が、見聞きするものに違和感を感じさせる。
たとえば、障害者と一言にいってもいろいろなケースがあるわけで、それを一くくりにして弱者として過剰に、しかも不自然なくらい平等化して扱ったり、あるいはそういう姿勢を指摘するふりをして、実は過敏に反応していたり。
そして現代、精神的に病める一見健常者が増え、弱者の定義はますます多様化する。要するにだれもが弱者なのだ。
結局、個々のパーソナリティに尽きるはずということだ。そもそも平等なんてありえないだろう。

「邪魔」 奥田英朗著、講談社、1900円

「最悪」に続く,奥田英朗の放つ孤独と自由がうづまくクライムノベル。
高校生,主婦,刑事が,あるひとつの放火事件をきっかけに,徐々に徐々に人生の歯車が狂っていく。
誰が悪いのかははっきりしているのだが,それをずばり指摘できないもどかしさ。人を信じたいという心。おびえ。平凡な人生を守りたいという気持ちなどがないまぜになりながら,徐々に徐々に狂っていく。この辺は奥田英朗の真骨頂か。
ただ,ラストシーンがいまひとつ。なんかすっきりしない。釈然としない。その後は読者のご想像におまかせしますということか。でも私は気に入らないなあ。

「十二番目の天使」 オグ・マンディーノ著,坂本貢一訳,求龍堂、1200円

本のオビや,いろいろな雑誌などの書評に「泣けた」「感動した」「勇気がもらえた」なんて書いてあって,「おいおい」と思っていました。
なんか,いかにも感動の押し売りみたいで,お涙頂戴の話を,右にならえでみんなが絶賛するのって,なんかいやなんですよね。
でも,だまされたと思って読みました。一応流行り物だし,押さえておかなければなりませんし。。。。

で,泣きました!

しかし,こんなしっかりしたけなげな子供って実際にいるのかな。いるかもな。
私も「絶対絶対絶対あきらめない」「毎日あらゆる面でどんどんよくなっていく」という気持ちを少し思い出してみましょう。

「常識の世界地図」 21世紀研究会編、文春新書、780円

ドイツでは日曜日に引越しをしてはいけない。またユダヤ教徒たちは,牛肉と牛乳を一つの鍋で煮た料理を決して食べようとしない。ぞれぞれの国には,その国の長い歴史によって育まれた文化があり,常識がある。イギリス人が外国人のレジメンタルタイを嫌う理由も,そのルーツを知ることによって理解できる。Vサインさえ,国によってまったく意味が変わってしまう常識・非常識の不思議さを世界地図の中に探ってみよう。

「「週末起業」これで私もお金持ちかも」 藤井孝一著、中経出版、1300円

個人で起業するというと,会社を辞めて。いわゆる「脱サラ」というイメージが強いかもしれません。しかし,現実にはあまりにリスクが大きすぎます。
結果的に,二の足を踏んでしまうというのが多いのではないでしょうか。
特に日本では,「企業の中はぬるま湯」「退路を断った独立」といった風潮が強いことも,その状況に拍車をかけている点もあると思います。
では,本当にそんな「玉砕精神」でよいのでしょうか?必ず成功するという保証があるならば,そういう過酷な状況に自らを置くのもよいのでしょうが,そういう「玉砕精神」は先の第二次世界大戦で懲りているはずです。
そこで,企業に勤めながら,週末に自分のできる範囲で起業をする・・・というのは非常に現実的でかつリスクヘッジを考慮した賢い選択なのではないかと思います。
一方で,企業の就業規則では「副業」を禁じているところはいまだに多いでしょう。でも,就業時間中に自分の起業にうつつを抜かしていたり,また疲労により仕事にならないならいざしらず,そうでなければ週末や終業後は自由なはずです。もっというと,そんな自ら起業をしているような能力とバイタリティを持つ社員を,昔ながらの就業規則があるからといってくびにするというのは,その企業にとっても得策ではないはず・・・ということで,このような規則は早晩淘汰されていくのではないかと思います。
まあ,そんな人のために,具体的なノウハウを紹介した本書です。
これをすべてやればうまくいくという保証はもちろんありません。読んだ人のがんばりと工夫次第なんですよね。

「受精」 帚木蓬生著、角川書店、1900円

不慮の事故で恋人が逝ってしまった。
失意の底で主人公・舞子が見出した一筋の光明。それはあの人の子供を宿すことだった。
すべてを捨てて舞子はブラジルの港町サルヴァドールへと旅立つ・・・・

前半は甘いラブストーリが少々鼻につく感じもしましたが、後半のスピード感あふれる展開はなかなかスリリング。
時間と空間を超えながら、衝撃のラストへと一気に走ります。
途中からなんとなく感じていたとおりの展開というのは否めませんし、文章も若干こなれていない部分もあり読みにくかったりしますが、しかし結構楽しめます。
現代医学の進歩と洗脳とそして・・・・かなり恐い気もしました。

「上司が「鬼」とならねば部下は動かず」 染谷和巳著、プレジデント社、1400円

「一頭のライオンに率いられた百頭の羊の群れは、一頭の羊に率いられた百頭のライオンの群れに勝つ」
「千の兵より一の将」
気持ちのいい、爽快な一冊。

上司よ、やさしさを誤解するな、部下に嫌われることを恐れるな、部下は上司の友達ではないのだ!!

「少年犯罪実名報道 (文春新書 261) 高山文彦著,文芸春秋,720円

1998年、堺市で起きた幼女惨殺事件(犯人は当時19歳)の報道をめぐる、少年実名報道の今の実態と今後の問題提起をした一冊。
そのココロは、人権派と呼ばれる弁護士と大新聞の問題点をあぶりだすところにクローズアップされてきます。
人権派弁護士とは、自分自身の売名行為のために、大衆受けするような姿勢を示しながら、裁判という名のディベート合戦を楽しんでいる感がある。そこには被害者のためという本来の思いからは大きく外れてしまっているように思います。
一方、大新聞は、いわゆる大企業病そのもの。やはり世間受けし、波風立てないトーンの記事に収めざるを得ません。つまり企業の構造上問題の本質に迫ることができないのです。
そんな思いを、ノンフィクション作家の高山さんが、実際の裁判の記録と合わせて切り込んできます。人間と法律という点について、これをテーマにしっかりと考えて見たいですね。

「情報の「目利き」になる! 日垣隆著,ちくま新書,700円

今の世の中、さまざまな情報が氾濫し、自分の周りをものすごい勢いで流れていきます。その中で有用な情報か、そうでない情報かを選別する目をMもっているか否かで、その情報の価値が、ひいてはその情報を用いる人の価値が大きく変わってくるといってもよいでしょう。
そんな、情報をうまく活用する能力のことを「メディアリテラシー」と本書では定義づけています。
よく言われる「情報リテラシー」よりももう一歩深い解釈ということですね。この言葉、いいと思います。

こういった、情報の目利きが、だまされないためには必要で、重要な能力なのですね。
この能力を鍛えるためには、日々自分の頭で考えるしかないと思います。

「人生と経営」 稲盛和夫著、致知出版社、1429円

出家後の書き下ろし。
しかも胃がんの手術を乗り越えたという経験を踏まえ、人間として正しい姿を追求する姿にますます磨きがかかってきています。
・誰にも負けない努力をする
・謙虚にして奢らず
・毎日の反省
・生きていることに感謝する
・善行、利他行を積む
・感性的な悩みをしない

「新・日本経済入門 マンガで21世紀の経済がわかる!! 石森章太郎プロ著,夏 緑脚本,シュガー佐藤作画,浅井 隆監修,小学館,1,200円

人間、生きている限り「経済」から逃れられません。モノを買ったり売ったり、借りたり返したり、も らったり、あげたり。みんな経済です。とっつきにくい経済がマンガで面白いようによくわかります!

「図解仕事人」 久恒啓一著、光文社新書、680円

ビジネスのコミュニケーションを高める上で、図解というのは非常に有効である。ただ、これをうまく使える人は非常に少ない。逆に使えれば大きな力になるのは間違いがない。
実際にビジネスシーンでの図解を活用してきた著者が、そのノウハウやそこにいたる考え方などをていねいに教えてくれている。
個人的には、小泉首相の「骨太の方針」の図解が面白かった。

「スカウト」 後藤正治著、講談社、1800円

衣笠祥雄、達川光男、大野豊、高橋慶彦、川口和久、池谷公二郎、金城基泰・・・
広島カープの黄金時代に貢献し、のち大洋、オリックス、日本ハムで40年以上のキャリアを重ねる現役スカウト。木庭教。プロ野球を陰で支える男の愛すべきドラマ。

「スターバックスマニアックス」 小石原はるこ、小学館文庫、657円

スターバックスファンならば必見の一冊。
全メニュー、レシピの公開。オーダーの時の上手な注文の仕方。その他インタビューやグッズの紹介まで、世界初のファンブックという感じである。

「聖域」 篠田節子著、講談社文庫、638円
関わった者たちを破滅へ導くという未完の原稿「聖域」。一人の文芸編集者が偶然見つけるが、得体の知れない魅力を秘めた世界へ引きずり込まれる。

テーマは実に難しいが、構成が非常に興味深い。篠田節子の原点の作といわれるゆえんだろう。

「税金を払う人使う人」 中村うさぎ,加藤寛著,日経BP社,1400円

税金滞納女王の中村さんと政府税調前会長の加藤先生の対談形式で展開される,実にわかりやすい税金問答。
いまひとつ税金ってとっつきにくいし,とくにサラリーマンだとあまりまじめに直面したことがなかったりで,ちょっと縁遠い感じだったんですが,この本は分かりやすくていいですね。
しかし,結局は,税金を収める人(=国民)の意識の低さと,税金を使う人(=役人,政治家)のあまりにも官僚的なやり方が,実にため息が出てしまうくらい情けないものだったのですね,これまでは。今まさに,構造改革ということで,世の中が変わるかどうかというところですが,まず税金を払っているという当事者意識をもって,この構造改革を見ていかなければならないと思います。真剣に。

「成果主義と人事評価 」内田研二著、講談社現代新書、660円

成果主義や目標管理といった方法で人事評価を行うことが、あたかも流行のような感じで捉えられています。
ただ、このような評価方法というのは、完全なものはありません。基本的には、人が人を評価するわけで、それはそれはたいそうなことなのです。それを簡単に可能とするツールがあると考えるのが虫が良すぎるといえるでしょう。
成果をどう評価するか?なんのための成果主義なのか。目標管理の目標に難易度が出てくるわけで、その達成度だけで計ってよいのか。年度で評価するケースが多いが、必ずしも一年で成果が出ると限ったものではあるまい。。。。にもかかわらず、なんで成果主義に経営者はすがるんだろう?
そもそも人事評価と報酬のリンク自体が正しい姿なのか?

などなど、ていねいに読めば読むほど、いろいろ考えさせられます。

「成果主義を超える (文春新書 237) 江波戸 哲夫著、文芸春秋、710円

目標管理制度、社内公募制度、早期退職制度など、企業も日本的経営も大きく変わってゆく中で一体あなたはどうすればよいのか。電機業界のケースを中心に据え、徹底的な取材に基づいて、目標管理制度や社内公募制度など、各社の改革の現状を具体的に紹介しながら新しい動向を探る。

「生と死の幻想」 鈴木光司著、幻冬舎文庫、533円
短編集。
本来世の中というものは、「平和で安全」なだけのものではない。
その世の中を生きていくためには、闘争心や腕力(暴力といってもよい)も必要なのだ。
それを「悪」というなら、人は「悪」を抱えていなければ生きていけない。まして、愛する人を守ることなどとてもかなわない。
そういった一切合切を含めて、人間というものを認めなければならない。常に静かな炎が心の底で細々と燃えているということを。

「世界がもし100人の村だったら」池田香代子再話、C.ダグラス・ラミス対訳、マガジンハウス、838円

世界を100人に縮めるとまったく違うあなたが見えてくる
って、この本、バカ売れしていますが、どこがいいのか私はさっぱりわかりません。そもそも100名に大雑把にくくってしまうこと自体が無理があるというか、だからどうしたとしか思えないのです。たしかに、へーそうなんだと思わなくもないですが、せいぜいその程度。お金を出して買って読むようなものでもないのではないかと思います。所詮チェーンメールなんですよ。まあ、対訳がついているので英語の勉強にはなるかもしれませんね。

「絶対音感」 最相葉月著、小学館、1600円
第4回週刊ポストSAPIO21世紀国際ノンフィクション大賞。
「絶対音感」とは、でたらめにたたいたピアノの鳴っている音が全部分かるらしい。また、空調の音や電話の呼び出し音もハーモニーに聞こえるらしい。ポップスを聞いても歌詞が頭に入らずドレミで聞こえる。和音が鳴ると目の前に特定の音階が浮かぶ。
このような特殊とも思える才能を持つ人が、日本人には結構多いらしい。そのわりに世界的な天才音楽家というものは日本人は多いとはいえない。
「絶対音感」とは音楽家のために必要な能力なのか?
「絶対音感」がないと音楽家として大成できないのか?
「絶対音感」があるがゆえに、音楽の楽しみや豊かさを阻害しているのではないか?
そもそも後天的に「絶対音感」を強制することは人の感性にとってどのような影響があるのか?

一流の音楽家とそれをとりまく人々の証言と、「絶対音感」にまつわる歴史をからめて、非常に興味深いドキュメントに仕上がっていると思います。
音楽に携わっている人はなおさら興味深いでしょう。

「宣戦布告 加筆完全版(上・下) 麻生幾著,講談社文庫,各648円

原子力発電所が並ぶ鶴賀半島に、北朝鮮の潜水艦が漂着した。この状況に日本が国家としてできることはどういうことなのか。。。
人の名前以外は実際の名称がならぶこのお話。しゃれになってないくらいリアリティがあります。
実際には、ここまでひどくないと思いたいのですが、内閣のあわてぶり、警察庁と防衛庁とのいがみ合い、外務省の現場感覚のなさなどなど、読んでて暗澹たる気持ちになってきます。
結局は、中国と米国の動きがきっかけで事態は収拾の方向に向かうわけで、まさに外圧でしか変わることができない日本の国家としての未熟さが凝縮されているような、そんな感じです。

危機意識ってどういうことなのか、今一度考えてみたいものです。

東大式レッスン!戦争の日本近現代史」 加藤陽子著、講談社現代新書、720円

「戦争」というと、かなり一方的に批判的な見方がされます。当然といえば当然ですが、ただ、その戦争当時と現在の状況とを一緒くたに考えると、その本質を見誤ってしまうかもしれません。
この本では、明治以降の日本における戦争に突入するまでのいろいろな要因を挙げ、どういう論拠で戦争突入したかをていねいに分析してくれています。たとえば、日本が大陸に展開していったときに、ロシアはどういう動きをしていたか。当時の国際法的な観点から見て、中国のアクションはどうだったのか。結局は、国民の熱狂が戦争のエネルギーとして後押ししたのではないか・・・・・
とにかく、学校では習わないですし、今の「常識」として見られているものも情緒的なものが多いように感じられる中で、ここで言われている内容は非常に勉強になります。ただ、文章や論理は少し読みにくいかもしれません。

「戦慄 昭和・平成裏面史の光芒 麻生幾著、新潮社、1700円

あさま山荘銃撃攻防、田中総理逮捕、ホテルニュージャパン、三菱銀行梅川事件・・・・
日本を恐怖と驚愕に陥れた10の事件の真相を事細かに詳述する。
実際に報道されたものとは違う、まさに生の迫力がそこにある。そして、真実が見えてくると、日本の本質というものがおぼろげながら炙り出されてくるような気がする。

「戦略思考ができない日本人」 中山治著,ちくま新書,680円

政府の景気対策はいきあたりばったり。教育改革は細部の手直しばかりで抜本対策は出てこない。官僚も企業のトップも「前例がない」といっては何もしない。これまで日本人はなぜ主体的な戦略思考ができなかったのか?本書では,西欧が堅固な守りで構築された「要塞文明」であるのに対して,日本は「はかなさ」の情緒を共感しあう「無常感文明」であると捉え,日本人がグローバル・スタンダード時代を生き抜くために必要な自己改革へのヒントを提示する。

「全力投球  我が選んだ道に悔いはなし 大野豊著、宝島文庫、600円

1999年,43歳で現役引退した,カープの左腕・大野豊投手の書いた自伝。
出雲信用組合で営業をやりながら,軟式野球チームで野球を続け,カープにドラフト外で入団。
当初はプロの壁にぶつかりながらも,恩師江夏豊に出会い,プロの大投手としての道を歩みはじめる。

カープファンでなくともプロ野球好きならば読んで損はないと思います。

「そうだったのか!現代史」 池上彰著、集英社、1700円

これは非常にうまくまとめられた,今を生きる大人の教科書です。
・東西冷戦ってなんだったの?
・ベトナム戦争の争点は?
・ベルリンの壁ってどこにあったの?
・ポルポトって何をしたの?
・イスラエル建国とOPECと湾岸戦争の関係は?
・文化大革命と天安門広場事件と台湾との対立は?
・冷戦後の旧ユーゴ紛争ってなに?
・・・・・・このあたりのこと,学校で習わなかったもんね。

「そうだったのか!日本現代史」 池上彰著、集英社、1700円

「そうだったのか!現代史」につづく第二弾。待望の日本編です。
前著同様、実に分かりやすい、非常にためになる大人の教科書です。
・敗戦国日本の復興
・自民党と社会党
・安保条約をめぐる抗争
・文部省と日教組
・赤軍派と浅間山荘事件
・田中角栄の存在
・・・・などなど、やっぱり学校では習いませんでしたよね。

「総理の値打ち」 福田和也著、文芸春秋、1143円

「文芸春秋」2月号「採点「歴代総理の値打ち」」に大幅な加筆。福田さんならではの、かつてない程明快で大胆不敵な「日本現近代史入門」。 伊藤博文=91点 原敬=73点 近衛文麿=17点 吉田茂=独立後は27点 佐藤栄作=72点 田中角栄=57点 中曽根康弘=40点 羽田孜=採点不能 村山富市=28点 小泉純一郎=29点・・・・・

「組織IQ」 鈴木勘一郎著、角川Oneテーマ21、571円

業績を高めるための究極の方法論。
すべてはスピードに集約される。ビジョンなきタスクには「価値」がない。不可欠なビジネス・オーナシップ。旧帝国日本軍と日本企業に共通するDNA。日本の組織はあまりにも閉鎖的だ。新しい組織のDNAとは。クローズドな組織からオープンな組織へ。あなた自身は,IQの高い会社でやっていけますか?

「蕎麦屋のしきたり」藤村和夫著、NHK出版生活人新書、640円

蕎麦好きにはたまらない一冊。
蕎麦の歴史から、蕎麦屋の歴史、そして時代時代のしきたりを丁寧に解説してくれています。さすが、老舗蕎麦屋の元店主。
蕎麦屋の上客としてのマナーのお勉強に、また薀蓄のひとつに最適ではないかと思います。

情大図書館別館へ
情大図書館へ
GLORY's OFFICEへ