別館:た行
「大往生の島」
佐野眞一著、文芸春秋、1429円
山口県に周防大島という島があります。
瀬戸内海に浮かぶ,淡路島・小豆島の次に大きな島は,実は高齢者の多い島としてよく知られており,特にこの中にある東和町は高齢化率日本一の町なのです(1997年時点)。
「過疎の町」「若者に捨てられた島」とかネガティブなイメージで捉えられやすいのですが,実はここにすむ人々は実に生命力あふれた,都会にない生きる力にみなぎったお年寄りが大勢生活しています。
また,都会に出た若者たちも,盆と暮れにはかならず帰省するという人が極めて多いのも特徴的な島なのです。
ここには将来日本全体が対処しなければならない高齢化社会へ対応していく上で,大きな参考になるようなものがあります。
単に,作り付けの制度や設備ではなく,人の心,年老いた老人の気持ちを考えた高齢化対策を考える上で,貴重な提言をしてくれているのです。
本書は,実は参考文献がものすごい量になっています。さらに,著者の佐野さんも何度もこの島に足を運び,実際に目で見て,人にいて・・・本質に迫る迫力はものすごいものがあります。
ただの評論なんか足元にも及ばない,超力作です。
「面白いほどよくわかる太平洋戦争」
太平洋戦争研究会編著、日本文芸社、1300円
太平洋戦争はなぜ起きたのか・・・なぜ日本は負けたのか・・・
禁忌というといいすぎかもしれませんが、なんとなくタブーとされ、また真実をあまり明らかにしたがらない傾向のある太平洋戦争。
当然、戦争は人の命と直結したもので、かついまだに遺族と呼ばれる方々が多くいるわけで、過去の歴史として語るにはあまりに近すぎるのかも知れません。でも、太平洋戦争にまつわるいろいろなことを分析することで、今の日本にも応用できることが多いと思います。しっかり反省をするところから始めないと、そして正しく反省するためには事実を正しく把握しないといけないと思います。
そういう意味では、太平洋戦争を理解するとっかかりとして、この本は非常に有効だと思いますね。
「太平洋戦争の謎 魔性の歴史=日米対決の真相に迫る
」 佐治 芳彦著,686円,日本文芸社
太平洋戦争は本当に無謀な戦争だったのか? 黒船来航以来のアメリカの対日戦略を分析し、 太平洋戦争が起こった原因と勝敗の明暗を分けた重要海戦を中心にさまざまな謎と疑問を鋭く追
究する。85年刊を再編集して新書化。
「太平洋戦争の失敗・10のポイント(PHP文庫)
」 保阪 正康著,PHP研究所,667円
真珠湾攻撃に始まり、終戦の玉音放送に終わった太平洋戦争。国力のすべてを傾 注して戦い抜いた3年9カ月、しかしその戦争指導には多くの問題があった。大局を見失い、希望的観測に終始し、精神
主義に陥り、現場の実情を観ずに犯したミスリードの数々…。今なお日本と日本人に痛切な問題を投げかける10テーマ から、その失敗の本質に迫った傑作評論。
少なくとも、学校では教えてもらっていないことがたくさんあります。表面的に、マスコミなどで喧伝されていることを鵜呑みにできないなあというのが正直なところかもしれません。
「戦争指導」というのはどういうことなのか。自らを当事者に置き換えてみて、今の世とあの頃の世との違いも思いをはせながら、改めて考えても良いのではないかと思います。そうすることで、初めて新しい自分自身の進むべき道が見えてくるのではないかと思うのです。
「タイムシフティング」
ステファン・レクトシャッフェン著、NHK出版、1800円
「タイムシフティング」とは、時間に対する見方を変えること。無駄な時間こそが、忙しいあなたを救う。
休みの日をどう過ごしていいのかわからない人、仕事でストレスが溜まると家族に八つ当たりする人、過去の失敗や未来の心配事が頭から離れない人・・・・このような人々には、ぜひともタイムシフティングが必要でしょう。
「大リーグと都市の物語」
宇佐見陽著、平凡社新書、700円
イチロー,シンジョウ,ノモ,ササキ・・・・と今シーズン日本人選手が大活躍のメジャーリーグ。
そのメジャーリーグ100年の歴史は,われわれ日本人には想像できない,米国の文化に織り込まれたものがある。これはにわかに大リーグ中継をテレビで見始めた人には到底分からないところかもしれない。
特に,球団とそこをフランチャイズとする都市との関係は,日本のプロ野球とはまったく違うものがある。
そんな,大リーグと都市の関係をいろんな観点で,歴史もかんがみながら説明をしてくれます。
野球ファンにはたまらない一冊です。
「<対話>のない社会」
中島義道著、PHP新書、657円
日本では一般に,個人同士が正面から向き合う<対話>を避ける傾向にある。さらに,スローガンや標語など「ああしましょう」「こうしましょう」と無意味で暴力的な言葉の氾濫にさらされている。
この2点はまったく別のもののように見えるが実は大きな関連性があるようだ。
実は日本的な思いやりややさしさといったものが<対話>を避けさせ,無意味な言葉の氾濫を生んでいるのではないか。
このような境遇で,自分自身の言葉で話せない,言葉を奪われた状態になってしまうことは非常に危険なことなのではないか。
こういった問題意識について,筆者のさまざまな経験から多面的に分析され説明されています。
「台湾人と日本精神
日本人よ胸を張りなさい」
サイ・コン・サン著、日本教文社、1429円
日本から見ると,中国本土も朝鮮半島も台湾もみな同じように見,同じように考えている人が多いのではないかと思います。台湾から見た日本ってどうなんだろう。特に太平洋戦争の時期に日本人としてすごした台湾の人々は日本のことをどう思っているのだろう。
そういった視点で書かれたこの書は,私のように戦時中の状況を知らない者にとって非常に示唆の富んだものになっています。
まず,台湾の人は「台湾人」という意識が強いということ。「本土の中国」ではなく,ましてや朝鮮半島の人々とも異なる別の人種であるということだ。
だからこそ中台の対立は根深いものなのだろう。
そして,台湾の人は実は日本に感謝している人が多いらしい。
まあ,多くの人がいるわけで単純に言い切るのは乱暴なんだけど,でも,植民地時代から日本は台湾にかなり力をいれて発展させてきたのも事実であり,いわゆる偏ったネガティブな意見だけで事実を曲げようとするのはまずいと思います。
「タテ社会の人間関係」
中根千枝、講談社現代新書、660円
このたび文化勲章を受賞された中根千枝さんの,約35年前に書かれた本です。でも,内容的には今読んでももほとんど古さを感じさせず,現在の日本で十分通じる内容で,読んでいたうなずかされることが多くありました。35年前ということで,その後の同様の研究にも大きな影響を与えているのではないかと推測できます。例えば,最近刊行されたもので言えば,
「無節操な日本人」中山治著,ちくま新書,660円
「戦略思考ができない日本人」中山治著,ちくま新書,680円
「無責任の構造」岡本浩一著,PHP新書,660円
「<対話>のない社会」中島義道著,PHP新書,657円
「不平等社会日本」佐藤俊樹著,中公新書,660円
あたりは,この中根さんの研究がベースになっているのかなとも勝手に想像しながら,今回の中根さんの論説を読んで思いました。つまり,日本人はあらゆる場面で「場」という村意識のようなものが強く,異分子を受け入れるゆとりのようなものがない。また,タテ社会に執着が強いがために,ヨコの連携に弱い。その結果,非常に無駄な動きがあったり,的確で適時な動きができないという弱点がある。この辺は,外国の文化と比較しても非常に異質である。−−−−といった感じです。
この中根さんの論説を表面的に捉えると日本人と日本文化を分析し,海外のそれと比較して「これを直さなければだめだ!」という教訓めいた論文という風に見えます。が,実は結論として,これ日本人特有のものとして片づけていないところにどきりとさせられます。つまり,「日本人は・・・」という前に,一定の同一条件を与えられれば,どこの国の人間だって同じような反応をするのではないかと,疑問を持ってみる必要がある!結局,生き物の中の「人」という種族には変わりはないはずなんだ!というのが,中根さんの主張なんですね。
で,ここでいう条件とは,「島国で他の国と陸続きの国境を持たない」とか,「同じ言葉をみな共通に話す」とかいった「単一性」が極めて強いということなのです。
そうは言ってもやっぱり普段の生活シーンなどにおいて「日本人って・・・」って,私なんか思ってしまいます。しかも卑屈になってしまうとこういう傾向は顕著だったりするわけで。でも,逆にいうと,こういう日本の社会というか,日本人の感性というものは,昔からの歴史と環境を経て成り立っているわけで,そうそう簡単には変わりっこないんですよね。
「そんなもん,私なんか35年前からわかってたわよ。それから何もかわっちゃないよ!」この本で中根さんにこう言われたような気もしました。
「タテ社会の力学」 中根千枝、講談社現代新書、660円
上記「タテ社会の人間関係」に続く中根千枝さんの「タテ社会」論の名著である。但し、本書は「タテ社会の人間関係」の続編ではなく、それぞれの本は論理的に完結した内容でありながら、相互に補強しあう関係になっている。
「人間関係」では、主として個人と個人の関係について論述されているのに対して、本書では、組織と組織の関係について分析が加えられている。そのため、まず「タテ社会」における「個体」認識の曖昧さについて述べられたあと、そのような境界線の曖昧な個体は小集団に帰属することを通じて(のみ)社会に参加していくという論理展開となっている。
つまり、「タテ社会」といっても独立した個人同士が明確な指揮命令の関係に立つのではなく小集団間の「圧力」、いわば「場」の雰囲気のようなものに支配されているということになる。
これは、まさに現代の企業等でも一般的に見られる現象であり、意思決定のプロセスや、業績評価のあり方など、具体的事象において基本的な構造が変化していないことは本書からも明らかであろう。
しかし、著者はこれを日本に固有の不変の構造ではなく、「変化を内包しうる、あるいは変化に十分耐えうる構造」として捉えている点は、非常に興味深いものがある。
「内包」「耐えうる」という以上、やはり現象面で変化しても「タテ社会」の本質は不変だと主張しているようにも受け取れるが、より重要なことはなぜそのような変化が起こったのかという「動的法則性」であるというあたりにヒントがあるような気がする。
なお、巻末に付記されている小論文「理論と変化の過程」(これは「タテ社会」理論に対する批判・誤解に対する見解)、および生物学者日高敏隆氏との対談「タテ社会からクラゲ論へ」も大変示唆に富むものであり「人間関係」とあわせてご一読されることを是非お奨めしたい。ある特定の種のカラスは個体間で明確な序列があるそうである。そういえば、ウチの会社でもエレベータの乗り降りの順番などに暗黙の了解があるような..^^);
「田宮模型の仕事」
田宮俊作著、文春文庫、524円
私も子供のころからよく作ったプラモデル。その中でも田宮のものは他社よりも精巧で一ランク上だったように記憶しています。
その田宮模型の社史のような田宮模型創業者の自伝的なお話。
本当に模型好きだったんだな。そういう仕事が幸せだなあ。素直にそう感じました。
「だれが「本」を殺すのか」
佐野眞一著、プレジデント社、1800円
「本」「出版」というものそのものを題材に捉えたルポルタージュ。
主な登場人物としては,「出版社」「編集者」「取次」「書店」「図書館」「著者」「読者」。
実は出版の世界は,非常に伝統的なビジネスモデルでいまだに動いています。言ってみれば,業界としてうまく回るように,また既得権者に権限が集まるようになり,また流通もぶつ切り状態なのです。その割を一番食わされているのが読者なわけです。あるいは町の小さな本屋さんもものすごく大きな負担を背負わされているのかもしれません。
本来は「著者」がいて「読者」がいればいいだけなのかもしれません。シンプルに考えればいいではないかというのは筋なんですが,そこに「図書館」がからむと少し話が厄介になります。「読者」にとってはただで本の読める図書館は非常にありがたい存在です。しかし「著者」にとっては,販売機会が失われるわけで,あまりうれしくはないのです。特に,ベストセラーや一時的な生鮮情報を扱っている本ならばなおさらです。
つまり,だれもかれも矛盾を抱えながら,「本」という文化にかかわっているのですね。
このような複雑な状況を,丁寧な取材と分析でわれわれに示してくれるのが本書です。
これを見て,どのように考えるか。それぞれの立場に該当する人々が考えていかなければならないということだと思います。
本を書く人,本を読む人,出版にかかわる人,みなで読んでほしいですね。
「だれが「本」を殺すのか 延長戦PART2」
佐野眞一著、プレジデント社、1600円
出版関係者で話題になった「本コロ」の続編。
ただ、私としてはちょっと評価がしにくいなあ。
というのも、本書の構成が、その前著の評価なり批評なりを集約した、ほんとにただそれだけのものだからなのです。「本コロ」に関する講演、対談、書評などを集めて羅列しただけに、ちょっと読むにはしんどい。まあ、先の「本コロ」を読んでいない人には、改めて読む手間が省けていいのかもしれないけど。
「弾丸列車」
前間孝則著、実業之日本社、2000円
親子2代で「超特急」夢を追い続けた、島安次郎・秀雄親子の奮戦記。
226事件以降、日中戦争、太平洋戦争、戦後の混乱、あるいは予算の問題などなど、幾多の困難を乗り越え、自らの身を棄ててまでも実現に漕ぎ着けたバイタリティはすばらしいとしか言えない。
戦前というまだ技術的にも足りない状況でありながら、蒸気機関車で150km/hを出し、東京−大阪間を4時間で結び、挙げ句の果ては下関経由で、対馬海峡にトンネルを掘り朝鮮半島につなぎ、満鉄を経由して北京まで、さらには中央アジアを経てベルリンまでつなごうという壮大な構想はあっぱれ。
結果的に、当時としては荒唐無稽と思われたこの構想が、新幹線を生み、日本の高度経済成長を支えることとなる。
まさに半世紀先を見据えた、類まれなる先見性といえる。
しかし、この「弾丸列車」の始発駅候補の一つに高井戸があがっていたというのは興味深い。
なお、この書は散り散りになってしまっていた、戦前の国家的プロジェクトである「弾丸列車」計画を整理しまとめたという意味では、学術的にも非常に意義深いものにもなっている。
「小さなことにくよくよするな!」
リチャード・カールソン著、サンマーク出版、1500円
忙しすぎる、悩める現代人に対して「しょせん、すべては小さなこと」として、癒し、見えなくなってしまっていたことを気づかせてくれる。
そんな、100編の項目がよみやすくここちよい。毎日一偏ずつ読み進めていくのもいいかもしれない。
ちょっとピュアすぎてついていけないという向きもあるかもしれないが、間違いなく1998年のベストセラーである。それだけピュアなものを求めている人が多いのかもしれない。
「知識経営のすすめ」
野中 郁次郎・紺野 登著,ちくま新書,720円
ナレッジ・マネジメントで知られる野中郁次郎氏らによる本書は、ナレッジ・マネジメントとは単なるノウハウの共有ではなく、社内外の知を生かした「知識経営」を実践し、画期的な新商品を生むことにあると説く。
大変読みやすく、読後になんとなく分かった気にさせてくれると言う意味で、ナレッジ・マネジメントの入門に最適の一冊である。
本書を読んで、その内容をかみしめた後、他の野中先生の本を探して読んでみるとよいと思う。
「知的プロフェッショナルの戦略」 田坂広志著、講談社、1500円
田坂さんの、非常に読みやすくそれなりにその気にさせる、最新ビジネスマンの心得集。メインテーマは「自己投資」。
・「求められる人材」ではなく「活躍できる人材」
・「師匠」を見出し「ディープ・ナレッジ」を学ぶ
・「傾聴力」と「反省力」そして「メタナレッジ」へ
・「個人ブランド」を生み出す
・「パーソナリティ」こそが「最高の戦略」となる
などなど、いろいろ考えさせられます。
「朝鮮半島5つの謎」
黒田勝弘著、徳間書店、1600円
南北首脳会談や米国大統領訪問など,いま朝鮮半島は大きな転換期にあるようです。
ただ,本当に今後いい方向に進むのか。北朝鮮は,いや金正日は変われるのか。ODAの援助はどうなるのか。テポドンは,ノドンはどうなのか。らち疑惑はどうなるのか。南(韓国)の方は大丈夫なのか。
まだまだいろいろとミステリアスであり,まだよくわからないというのが正直なところではないかと思います。
「超勉強法」
野口悠紀雄著、講談社、1500円
説明不要の大ベストセラー。
超勉強法基本三原則として、
1.面白いことを勉強する。
2.全体から理解する。
3.八割までやる
「鎮魂歌」
角川書店、馳星周著、1500円
「不夜城」の続編。2年後という設定。
前作以上に人の殺されるシーンが多く、読了感はよいものではない。
ただ、今作で非常におもしろいのは、2人の準主役の男のそれぞれの視点からの写実が、作品を奥深いものにしているように思う。
でも、とにかく熱中できる。男はだれでも一度は「無頼派」とか「一匹狼」というものにあこがれるんですよねえ。
「潰れない会社にするための12講座(中公新書ラクレ 38)
」 吉岡 憲章著、中央公論新社、700円
自分が役員をしていた会社(たぶんテスコン)が,メインバンクの強制回収で倒産に追いこまれた実体験などを通じて,銀行との付き合い方から経営改革までを解説しています。
多分に著者本位な部分もあるような気もしますが,いろいろと考えさせられるものがあります。
「ディズニーランド101の謎」
TDL研究会議著、新潮OH!文庫、619円
いわゆる「暴露本」や重箱の隅を突っつくようなせこいものではありません。
東京ディズニーランドの知られざる事柄や設備,ディズニーキャラクターの研究の結果わかったこと,世界中のディズニーランドの謎などなど,ディズニーフリークにはたまらない内容になっています。
いわゆる正統派だけに,もっと裏技的なものを期待した読者は刺激が少なすぎるかもしれません。
ちなみに,東京ディズニーランドの前のJRの駅名「舞浜」は,「マイアミ」にひっかけたとか。
いずれにしても,一度ディズニーランドに行ったことのある人なら,肩がこらずに楽しめます。
新潮OH!文庫の第一号の書です。
「帝都東京・隠された地下網の秘密」秋庭俊著,洋泉社,1,900円
東京の営団および都営地下鉄の路線図を眺めて、いつも気になっていたことがあった。
もしもそばに路線地図があれば見てみて欲しい。デフォルメされたものではダメで、できるだけ正しい地図のものがよい。
極端に不自然な曲がり方をしているところがいくつかある(例:大江戸線の汐留−築地市場間、日比谷線の六本木−神谷町間)。あるいは、あたかも一本の直線の坑道のように見えるところが、違う路線で使われていたりする(例:日比谷線人形町と半蔵門線水天宮前あたり、都営浅草線の新橋駅と都営大江戸線の汐留駅と銀座線の新橋駅あたり)。さらに、永田町、赤坂見附、国会議事堂前、溜池山王あたりの異常な密集のしかた・・・
これらの点について、事実を追いながら解きほぐしていこうというのが本書の主旨である。
おそらく、戦前あるいは昭和初期ころから政府がいろいろと計画をし、すでに地下には相当な坑道網ができていたというのが結論であろうが、だからどうだというがちょっとわかりにくいようにも感じた。
「「哲学実技」のすすめ」
中島義道著、角川oneテーマ21、571円
哲学を活用するための塾「無用塾」における,中島教授とその生徒たちとのバトル。
教科書は要らない。あなたの体ひとつでどこまで考えられるか・・・そしてだれもいなくなった。
とにかく自分のアタマで自分のカラダでいかに考えいかに納得するか。過去の偉人だどう考えたかではなくあなたがどう考えるか。そこが一番大事。そして考えて考えて考え抜いて,結局わからないということを理解できたら,それはそれで健全だと思うな。
「哲学の教科書」
中島義道著、講談社、2000円
哲学とは思想ではない。文学でも芸術でも科学でも宗教でも人生論でもない。いってみれば思索のダンディズムだ。
究極の哲学の問題とは「死」である。自らの死をどう捉えるかということから自身の哲学が始まるように思う。
「テロリストのパラソル」
藤原伊織著、講談社、1400円
第41回江戸川乱歩賞受賞。
新宿で白昼発生した爆弾テロ事件。そして学生時代の甘く切ない記憶。織り成す綾が実に巧妙に物語を形作っている。
最後の場面では、まず驚かせ、そして優しく悲しい結末へ。
主人公とその周りの人々が実に魅力的に描かれている。またその会話の表現も実に巧妙。
「天才柳沢教授の癒しセラピィ」
川嵜 克哲文、山下 和美画,講談社,1,400円
柳沢教授の周囲にはいろいろな問題に悩むさまざまな人物が登場し、柳沢教授らしい関わり方で多くの場合、状況は好転していく。マンガ「天才柳沢教授の生活」をサイコセラピィとして読み解く。
私は、コミック文庫でひととおり「天才柳沢教授の生活」は読みましたが、この本を読んで改めてコミック文庫を読み直すとともに、新たに「天才柳沢教授の冒険」を買ってしまいました。
「転落の歴史に何を見るか 奉天会戦からノモンハン事件へ(ちくま新書
337)」齋藤健著、筑摩書房、680円
日露戦争の勝利からノモンハン事件の負け戦までの暗転の過程を、リーダー、組織、社会的モラルといった側面からち密に検証する。この時期の日本は経済、外交など各分野で内発的な改革を進めていたが、結局軍部の専制を防げず惨めな敗戦という結果を招いてしまった。
「投球論」
川口和久著、講談社新書、640円
カープ−ジャイアンツで計135勝と活躍したサウスポー本人の投球論から投手の心理、カープとジャイアンツの球団としての比較など。
野球ファンには非常に興味深い一冊。
そもそも元プロ野球選手が、講談社新書に本を書くなど非常に珍しいケースでしょう。
「東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」
遙洋子著、筑摩書房、1400円
いやー,おもしろかった。スピード感ある文体と,興味深い内容は読んでてあきさせません。単元が短いのも読みやすい一つの要因かも。
私はこの本で多くのことを学びました。
・ジェンダーとフェミニズムについて
今までなんとなく思っていたことがあまりにも浅はかだったことを痛感しました。
・大学の研究室の真剣さ
常に学問のことを考えつづけ,考えて考えて考え抜いて自らの解を体で感じ,見つけるようになるには,そうとうな努力が必要なんですね。
片手間には到底無理です。
・上野千鶴子のりりしさ,遙洋子のひたむきさ
いくつも習うべきところがあります。正直言って,直接会って話しをしてみたい,聞いてみたい。
・人と議論をするということ
巻末の「ケンカのしかた十箇条」は非常に参考になります。
「東電OL殺人事件」
佐野眞一著、新潮社、1800円
佐野さん渾身のドキュメント。
これは単なる社会派ルポを超えた強烈なノンフィクションだと思います。
実に丁寧な取材と、そして作者の鋭い感性が渾然一体となって事件を掘り下げていきます。
なぜ、エリートOLは娼婦として陥ちていったのか。本当の犯人はだれだったのか?
いまだによくわからないこの事件の調査は意外な方向へ向かっています。
警察と検察、そして大企業である東京電力の間に何かあるような気がしてなりません。
そしてその人身御供となったのがネパールからの不法就労者であるゴビンダ・マイナリなのか?今後の裁判の行方が気になります。
400ページをゆうに超える本書ですが、緊張感がまったく途切れませんでした。
「東電OL症候群」佐野眞一著、新潮社、1600円
前作の「東電OL殺人事件」以降、この事件にまつわる事項の状況変化と、それを受けての佐野さんの思い入れがつまった一冊です。
相変わらずの綿密な調査と分析には舌を巻きます。ただ、今回は前回ほどのよい出来とは思えませんでした。というのは、あまりにも佐野さんの思い入れというか、情緒的なくだりが多く、またアピールした部分が本文中に何度も何度も出てくる感じは。ちょっと読んでてしんどいと感じたからです。
とはいえ、佐野さんならではの切り口で、日本の司法の腐敗状況が暴かれている点は、非常にどきどきさせられ、かつ暗澹たる現実を突きつけられたような気がします。
さて、最高裁の判断はどう出るのでしょうか?
「Twelve
Y.O.」福井晴敏著、講談社、1500円
1998年江戸川乱歩賞受賞作の一つ。
かつて「12歳の子ども」と断言された日本。その日本が大人になるためのプロセスとは・・・
結構派手な戦闘シーンもあり、また沖縄の米軍基地の描写など本当かと思わせてくれたりかなり楽しめます。
一方で、今の日本のおかれている立場などの思いをはせると、いろいろと考えさせられもしました。
「ドメスティック・バイオレンスDV 殴らずにはいられない男たち
」豊田正義著、光文社新書010、680円
ドメスティックバイオレンスとは、主に夫婦間の暴力のこと(その他家庭内暴力を含めてドメスティックバイオレンスということもある)。一般的に暴力はよくない。しかも身近な家族となればなおさらである。なんてことは誰もが頭ではわかっていること。ところが、暴力を振るってしまう、振るわざるを得ない、そんな心理というものは簡単に説明ができない。なんで暴力を振るうのか。そういうことを起こしがちの人は共通した何かがあるのか。被害者側に問題はないのか。加害者が自ら暴力を辞めようと決意をし、外に助けを求めているような場合に、的確なアドバイスのできる人が近くにいなくて、また繰り返してしまう。。。。なんてこともあるかもしれない。
実際に被害者と加害者の双方のインタビューから、ドメスティックバイオレンスの本質あるいは実像に迫る。
「取引」
真保裕一著、講談社文庫、880円
公正取引委員会の審査官伊田は汚職の嫌疑をかけられた。何者かの策略にはまり事件に巻き込まれたのだ。あるところからの誘いによってフィリピンへ行くことになる・・・・
ODA(政府開発援助)プロジェクトに関する談合事件をマニラで調査する伊田の身に危険が迫る!
「ドラッカー的未来社会を読む
」 川井 健男著,宝島社新書,750円
・キーワードは「知識社会と少子化」
・経済ではなく,社会の変化
・提供サイドではなく需要サイドが物事を決める
・製造業の地位下落
・知識社会は継続教育がカギ
要するに、ドラッカーの「ネクスト・ソサエティ」のエッセンス(のエッセンス)を、ビジュアルにまとめた本です。要点の表示や図解、ポイントのカラー表示など、これでもか、という感じで、迫ってきます。この点だけでも、新書としては非常に斬新で「買い」です。
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