2.7 労務管理(ワークロード管理)

 純粋に利益を追究することと、プロジェクトメンバの労務管理について考慮することは、一見相反する要素である。しかし、作業ミスや作業もれを防止する意味での特定メンバへの作業負荷集中の防止や、メンバの健康管理を考え、欠員を出さないように注意することは、実はプロジェクトの成否に大きく係わっているのである。プロジェクト全体を見すえたバランス感覚で、最適化を図りたい。

(1)メンバの健康面について
プロジェクト活動は、仕事の量が平均化していない。つまり、プロジェクトに参画する技術者は常に自覚を持って山場を乗り切る方策を考えていかねばならない。仕事の内容と同様に作業のきつさも予測し、前もって体調を調整しておくよう指示すべきである。ただし、限界を超えるような無理は、各メンバのその時々の自己判断によりコントロールしていかなければならない。
また、プロジェクトの作業の途中は、各メンバが極めて属人的になりやすく、そのためプロジェクトの途中で誰かダウンしても、他の誰かに完全に作業を引き継ぐことは不可能であることが多い。仮に誰かを調達できたとしても、他のプロジェクトの戦力ダウンを引き起こす可能性もある。
プロジェクトリーダは、残業時間や休日出勤の多いメンバへの十分な配慮を行う必要がある。
残業、徹夜作業、休日出勤をもくろんだプロジェクトは、スケジュール管理の観点からも、労務管理の観点からも必ず破綻する。

(2)メンバへの動機付け
情報システムという、目に見えない知的生産物を創造していくわけであるから、心の拠り所、人間性、やりがいといったものは無視できない。このような修羅場において管理者は技術的な問題とともに心の問題も十分心得ていなければならない。
プロジェクトメンバに将来の成功を意識させ、日々の小さな成功体験を味わわせ、そしてやる気をおこさせることは重要である。この小さな成功体験の積み重ねが力となって、やがて大きな成功をもたらすものである。

(3)コミュニケーションの重要性
プロジェクト遂行のあらゆる局面において、メンバ相互のコミュニケーションを十分にとっていく事は極めて重要である。必要ならば、定期的なカウンセリングもよいかもしれない。
そもそも、組織とは、あくまでもコミュニケーションを安定させるのが第一目的なである。

(4)その他
・ 能力のあるプロジェクトリーダが、プロジェクト全体をぐんぐん引っ張っていくような体制であれば、そのプロジェクトはうまく行くであろう。しかし、能力があると自負する人が一人で勝手にどんどん仕事を進めると、そのプロジェクトは破綻してしまう。
・ たいへん高度な知識があり、すばらしい意見を述べることができる人よりも、実際に仕事をしている人が、仕事の内容をよく知っているのは事実であろう。担当者の勘は馬鹿にできない。
これらはほんの例に過ぎないが、リーダへの信頼感や実作業現場の評価いかんでも、メンバの士気は大きく左右されるものである。




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