投資効果の新常識
情報投資効果の測定には3つの「常識のウソ」がある。
・情報化の効果は定量化できる
→人間が使ってなんぼのものを、システム単独で事前に効果を定量化するなんてとても無理。システムだけ捉えて投資効果があるかないか議論するのはナンセンス!
人間系の使いこなしがからめばからむほど効果予測の意味がなくなってくる。
・情報化は情報システム部門が主導するもの
→現場の問題意識を起点とし、彼らがアイデアを出し、最後ま責任をもって遂行しなければ、情報化による業務改革にはつながらない。
・情報化の予算は年度単位で立てる
→年度単位で見るのは、既存システムの運用費や人件費など定常的に発生するコストだけを対象にすべき。
戦略性を客観的に評価して、必要な時に「投資案件」として随時、経営判断していく必要がある。
なんで、このようなウソの常識が蔓延するようになったのか?
・経営陣の「事なかれ主義」
・システム部門の「技術至上主義」
・業務部門の「日和見主義」
このままでは変わらない。むしろ周りの流れから取り残されて退歩してしまうかもしれない!
ということで、効果至上主義を打開する、5つの新常識。
1)机上の効果予測の呪縛を断ち切る
→経営判断として「是」ならば、事前の効果予測に固執しない。
むしろ、システム稼働後の効果測定に重点を置く。
2)年度予算にこだわらない
→必要ならば全社投資として随時稟議起票。
一つ一つの案件を必要な時に経営判断していくめりはりの効いた姿勢が必要。
3)情報システム部門でなく事業部門が起案する
→情報システム部門はその実現を支える役目に徹するのが、結果的に効果ある情報化を進めるコツである。
4)情報化の対価を利用部門が支払う
→情報化の目的は業務改革。業務部門自らのビジネスに直結す重要な課題という意識を根づかせる。
情報システム部門のコストを見て、他人事のように批判してようではダメ!
5)全社均一の情報化を目指さない
→やる気のある部署を優遇して情報化を進め社内に温度差を作るほうが、結果的に経営に直結する情報システムが生れる。
【所感】
いわんとしていることは非常によくわかる。
ただ、現実にいかにして適用していくか。これが一番難しい。
新常識1)
これは実に興味深い発想。事前に机上でいくら理屈をこねくりまわしたところであまり参考にならない。まったくやらなくていいとは思わないが、ある程度のレベルまでやってアウトラインが見えればそれ以上詳細ににやってもしょうがない。
むしろ事後の評価を大事にする姿勢は大納得。
新常識2)
これは、多くの新しい会社は、実はこういう文化はあると思います。
むしろ、社員の方(情報システム部内、部外問わず)が、マスタープランなどを気にしすぎて、自分の首を絞めているようなケースが多いように思います。
新常識3)
いつもそうありたい。でもこれがなかなか難しい。
業務部門側にそこまでできるパワーがないのが要因(たとえできる人がいても、一人では限界がある)。
さらに、情報システム部門の存在価値のなさ、ひいては無責任(極論!)という雰囲気を醸し出す危険性もあります。
ということで、ここは「情報システム部門が一緒に考える」とするのがよいと思います。
新常識4)
これも納得。
ただ、情報化に対する意識がある程度高まってからの方が、余計な問題を起こさないで済むような気もします。
直接コストがかかる→いやだ→うちは情報化しないというケースは容易に想像できます。
新常識5)
この発想もおもしろいです。
前項にも関連するところだと思います。
確かに、必要に応じて対応するというのがベターです。
ただ、すべてこれでうまくいくケースであるとも限りません。全社的に統一して対応すべきこともあります。要件によって、対応の仕方も変えていかなければなりません。
以上
(日経情報ストラテジー1999年11月号より)
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